ある日、パリの市場で、道路に落ちているものを拾う人たちを目にしたヴァルダ監督は、ミレーの名画『落穂拾い』を連想した。落穂拾い――それは、農民たちが収穫した後の落ちこぼれた麦の穂を拾い集める貧しい人々の行為。昔は収穫期には必ず目にする光景だった。ヴァルダ監督は、フランス各地の“現代の落穂拾い”を探し、旅に出た。映画は、市場をはじめさまざまな形の“落穂拾い”を縦糸に、ボクシンググローブを首にさげた犬、走るトラックなど旅の途中で監督が興味を抱いた対象を横糸に、軽やかな文明批評と一方で監督自身を見つめる物語を紡いでいく。
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